このサイトの目的

このサイトの第一の目的は、単記移譲式を解説することです。単記移譲式は、日本語でのわかりやすい解説が少ないと感じられるので、お役に立てるかもしれません。

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このサイトの第二の目的は、単記移譲式の歴史・設計意図を解説することです。単記移譲式については、誤った情報が広く流布されているので、誤解を解くきっかけになるかもしれません。

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単記移譲式投票とは

単記移譲式とは、選挙の方法です。この方法は、各有権者に候補者の順位をつけてもらうことによって、死票を減らし比例代表を達成する方法です。有権者には、候補者を直接選ぶ権利を保障します。

単記移譲式は、単記移譲式の欠点を克服する一方で、長所の多くを受け継ぐものです。

日本の選挙制度改革を考えるために

現在の日本国においては、2つの選挙制度改革が話題になっています。一つは衆議院議員選挙における「中選挙区制復活論」です。もう一つは、地方議会における選挙制度改革です。

単記非移譲式の仕組み

焦点となるのは、複数人選出の選挙区に対し各有権者が一名の候補を選び、得票順に当選者が決まる仕組みです。この方法は、日本においては長い歴史がありますが、前者はそれを復活させること、後者はそれを廃止することが主張されています。

政治学者達は、伝統的なこの方法を単記移譲式と呼んでいます。この名称は、伝統的な方法の欠点を強調するように、「単記移譲式」と呼ばれる方法との対比でつけられたものです。

単記移譲式は、それなりの長所もありますが欠点もあります。しかし、過渡的な方法としておよそ120年前に日本の選挙に導入されました。これまでに、少なくない人達が、単記移譲式の導入を願いましたが、IT技術が発達していない時代にあって、開票作業の技術的な問題がクリア出来ずに導入には至りませんでした。その後、平成の政治改革によって、衆議院議員の選挙から単記移譲式はなくなりました。しかし、それは、単記移譲式の良い面を失わせる制度改革でした。

利点:有権者に選択肢を

単記移譲式は有権者が直接候補者を選ぶ権利を保障します。政党の枠組みが、有権者の思いとすれ違うような状況でも、有権者に政策の選択肢を与えます。

単記非移譲式の利点について詳しくはこちらへ

死票になることを恐れずに安心して投票

単記移譲式では、落選者の票および当選者の余分な票は移譲されるので、有権者は自分の票が死票になることをおそれずに、安心して投票することができます。

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比例代表を実現

単記移譲式は、組織的な「調整」に頼ることなく、多数の人には多数の当選人、少数の人には少数の当選人を保障します。

従来の中選挙区制と異なり、同じ政策を掲げる候補者の一方が票を取りすぎて同士討ちや共倒れをおこして損をすることはありません。中選挙区制についてはこちら

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単純で納得しやすい発想

単記移譲式は、「無駄な票を有権者が決めた順に移譲する」という自然なアイディアに基づいてつくられており、有権者に理解・納得されやすい選挙方法です。

アイルランド公共放送での単記移譲式の説明

単記移譲式は、有権者に理解しにくい複雑な方法だと批判されてきました。はじめから、単記移譲式の細かな部分に注目すると「難しい」という印象を持つ人がいるのは確かです。

しかし、順序よく学べば、決して理解しにくい方法ではありません。

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長い歴史・実践経験

単記移譲式は、長い歴史を持ち、アイルランドでは独立以来この方法で議員を選挙し続けています。国政レベルでは、オーストラリアやインド、地方レベルではニュージーランドやアメリカ・スコットランドなどもこの制度を取り入れています。

アイルランドの選挙の開票の様子(大芝健太郎氏による写真)

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日本では

帝国憲法の時代は、日本でも単記移譲式の導入が検討されていました。単記移譲式は、その理想的な性質から「公平選挙」ともよばれていました。議会開設の功労者である板垣退助は、この方法の推進者の一人でした。

板垣退助

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コンピューターの普及と機械化で簡単手軽に

単記移譲式に反対する人は、「日本のような人口の多い国では、単記移譲式は複雑で実行不可能だ」と強調します。しかし、この30年あまりで、状況は大きく変化しました。開票作業の機械化とコンピューターの普及が、単記移譲式を簡単で安定的なものにしました。

用紙を使った投票でも、票の読み取り・分類作業は機械を使って実行可能です。電子投票という選択もあります。電子データとなった投票結果から当選者の決定をする作業も、ごく普通のパソコンでも短時間で実行可能です。

再評価が進んでいます

諸外国での単記移譲式を導入しようという動きが広がっています。欧州議会の選挙でも取り入れられています。

スコットランド地方議会における選挙制度の説明