単記移譲式投票の方法

単記移譲式は、シンプルな発想に基づいており、理解・納得しやすいものです。

単記移譲式は理解しにくいと言われることがあります。たしかに、単記移譲投票は、細かな点に注目すると、技術的にややこしい問題もあります。したがって、はじめから、すべて知ろうとすると、「単記移譲投票は難しい」という印象が生じてきます。

しかし、順序よく学べば、単記移譲式は難しくないことがわかります。実際に、このページに書いてあることを抑えておけば、単記移譲式の簡明さを実感できるでしょう。

1. 投票の方法

有権者は、すべての候補者に順位をつけて投票します。有権者にとっては、この順位は自分の1票の行き先を決める優先順位です。第一位が最も優先する順位、第二位がその次...となります。

2.当選基数の決定

投票が終わったあと、開票・集計し当選者落選者を決定していきます。まず、当選基数を決定します。当選基数は、通常はドループ基数と呼ばれるものを使います。ドループ基数は次の式で求めます。 \[\frac{全得票数}{議席数(当選者数)+1}\]

当選基数は、当選するために必要な得票数を表します。ドループ基数の考え方の起源は、「確実に \(n\) 番以内に入るためには、全得票数の \( 1/(n+1)\) を超えれば良い。」という発想です。

例えば、一人の当選者を選ぶ選挙では、有権者の半数がドループ基数になります。半数を超えれば、1位は確実という訳です。

同様に、二人の当選者を選ぶ選挙では、有権者の \( 1/3 \) がドループ基数になります。自分の得票が、\( 1/3 \) を超えれば、得票が \( 1/3 \) 以上、すなわち自分以上になる他の候補は多くても一人なので、自分が2位以上になることが確定するという訳です。

3.最初の得票を集計

まずは、すべての票を一位の候補者へ集計します。

ドループ基数を超える候補が議席の数に達するか、落選してない候補の数が議席の数に達するまで、次の原則によって票の移譲を行います。

原則A 票を集めすぎた人からの移譲

基数を超えた候補者は当選が確定します。その後、基数の分の得票を維持し、基数を超えた分の票を移譲します。

この操作によって、票が偏ってしまうことから、たくさんの票が少ない議席にしか結びつかないことを防ぎます。

原則B 票の少なすぎる人からの移譲

得票が基数を超えない人を1人だけ選び、落選者とし、その票のすべてを移譲します。一般的な方法では、この時点での最下位の候補が選ばれます。

この操作によって票が分散してしまうことから、当選者が一人も出せないことを防ぎます。

ただし、この原則2よりも原則1が優先します。

移譲先は有権者が決めた順位による

原則Aによる場合も原則Bによる場合も、票の移譲先は有権者が決めます。そのため有権者は候補者に、1, 2, 3...と順番をつけて投票したのです。1番が当選または落選したら2番へ、2番が当選または落選したら3番へと移譲されます。

有力な方法は2つ

原則Aが少しむずかしい

単記移譲式の中でやや難しいのは、原則Aにおける票の移譲方法です。様々な方法の違いが生じるもこの原則Aでの票の移譲方法です。

このページに書いてあることが理解できたら、あとは原則Aの細かい方法を理解すれば、単記移譲式を深く理解したことになります。

原則Aの方法として、現在有力だと考えられているのは、グレゴリ法ミーク法 です。グレゴリ法は歴史が長いですが、コンピューターの発達した現在はミーク法が実現しやすいでしょう。

一通りの理解はこここまで

原則Aの詳しい方法がわからなくても、単記移譲式を知らなかった人に、単記移譲式を教えてあげることもできるでしょう。原則Aの詳しい方法について、それほど気にならないのであれば、単記移譲式を自分なりに納得できたと考えて良いでしょう。