欧州議会

欧州議会の、アイルランド共和国の選挙区、北アイルランドの選挙区、マルタの選挙区の議員は単記移譲式で選出されています。

欧州議会の議場

アイルランド共和国 I

アイルランドでは、1922年のアイルランド自由国憲法によって、選挙では単記移譲式を用いることが定められました。アイルランド共和国憲法においては、単記移譲式が定められています。現在まで、何度か国民投票にかけられましたが今まで廃止されていません。

アイルランド公共放送での単記移譲式の説明

アイルランド共和国 I

アイルランドでは、3から5人の定数の中選挙区制ごとに国会議員が選出されています。アイルランドでは憲法によって3人未満の選挙区は構成してはならないとされています。

アイルランドの選挙区割

投票用紙は候補の写真つきの大きな紙の横に、数字を記入する様式になっています。

アイルランドの選挙の開票の様子
(大芝健太郎氏による写真)

オーストラリア

オーストラリアの上院議員は1948年より単記移譲式で選出されています。 一つの選挙区は各州または、準州および特別区で構成されており、それぞれ6人または2人を選出しています。

オーストラリアは単記移譲式の歴史の長い国で、20世紀のはじめにタスマニア州の議会で実践されました。タスマニアでクラークによって単記移譲式は改良されました。

オーストラリア上院投票用紙の形式

オーストラリアの上院の選挙では、個人の直接順位をつけるか、政党に順位をつけることで省略した形で個人に順位をつけるのかを、選べるようになっています。政党に順位をつけた場合でも、最上位の政党の候補者全員から移譲されたあとは、第二位の政党のの候補者へ、という具合に移譲は政党を越えて行われます。

インド・パキスタン

インド上院(Rajya Sabha)やパキスタンの上院議員は、大部分が単記移譲式で選出されています。ただし、どちらも上院議員は各州の議員による間接選挙です。

ABP Newsでのインド上院の単記移譲式の説明

地方議会

北アイルランド議会、スコットランドの各地方議会、オーストラリアの各州、首都ウェリントンなどニュージランドのいくつかの市、ケンブリッジ市やミネアポリス市などのアメリカ合衆国の地方議会で単記移譲式は採用されています。

北アイルランドの投票用紙

アメリカ合衆国での歴史I

第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、アメリカ合衆国の十数の有名都市( ニューヨーク市、シンシナティ市、トレド市) の市議会議員が単記移譲式で選出されました。様々な理由、とくにマイノリティの議会進出が、「伝統的なアメリカ」にとって脅威であるかのような宣伝の影響もあって、第二次世界大戦が終わるころには多くの都市で廃止されました。

一方、ケンブリッジ市(マサチューセッツ)では1941年から現在に至るまで単記移譲式が用いられてきました。

ケンブリッジ市のマークシート型の投票用紙

アメリカ合衆国での歴史II

ケンブリッジ市(マサチューセッツ)では1941年から単記移譲式が用いられ、9人の市議会議員が一つの選挙区から選ばれています。近年は、ミネアポリス市(ミネソタ州)やイーストポイント市(ミシガン州)などで単記移譲式が導入されました。